「禅語ブログ『日々是好日』」vol.21「威儀即仏法 作法是宗旨(いぎそくぶっぽう さほうこれしゅうし)」

6月 26日, 2020 更新 アーカイブ, 禅語ブログ

いろんな既成や縛りが多くて
自由にやりたい仕事ができない・・・

 

相談者Dさん 24歳 男性会社員

 

Q、それなりに仕事が出来るようになってきて
自信も付けてきているのだが…

 

自分なりに考えて
効率化した仕事で
成果をさらに上げていきたいと考えている

 

しかし、ここへきて
障害が多いと感じている

 

それは会社のルール…

 

『あれはダメ、これもダメ』
『こうしなさい、そうしたほうがよい』

 

もっと一人一人が
自由に、自分の考えて動けたほうが
ずっと効率は上がると思うのだが、
それが出来ないジレンマを抱えてしまっている

 

・・・

 

こんにちは、禅メソッドマスターの木村卓道です

 

せっかく自信を付けてきているのに、
自由度が少ないと
息苦しく感じて
モチベーションも上がりませんね、、

 

「もっとこうしたほうが」
「もっとああしてみたい」

 

そんな思いが湧き出てきて
仕事と向き合えているDさんは
やる気がみなぎっていて
幸せな状態ではあると思います。

 

ただ、実行はなかなか難しいと・・・

 

なぜ縛りがあるんでしょうね?

 

ルールやマニュアル、
決められた手順というものには
2面性があるように思うのです

 

ひとつは
「過去のトラブルや失敗」
から学んだ工夫として決まり事

 

そして、もう一つは
会社として打ち出したい
「我々はこうありたい」という
思いを体現するための決まり事

 

そういえば、
最近「はんこ文化」への見直しの
機運が高まってきていますね

 

コロナ禍に際して
無駄を省こうという事で
特に社外の大切な契約書類以外は
はんこを廃していこうという
流れになってきています

 

時代の移り変わりとともに
「変化していく決まり事」もあれば、
時代が移ろい行くからこそ
「守り続けないといけない決まり事」
もあるかもしれません

 

今、Dさんが壁に感じている
決まり事はどちらになるのでしょう?

 

。。。

 

もしトラブル回避の
リスクヘッジのための
決まり事であるならば、
致し方ない部分もあると思います

 

もちろん時代の移り変わりとともに
「もう良いのでは?」という時期が
来るかもしれません

 

しかし周囲の仲間が
手間を感じつつも
その必要性をリスクヘッジの観点で
やる続けているのであれば、
守っていくのも必要かもしれません

 

そしてどうしても
「変えていくべき事だ」
と信じられるのであれば
すぐでなくても、変える必要性を
声を上げて行きましょう

 

。。。

 

ただ、もう一つの
会社として「こうありたい」と願っての
決まり事は別です

 

それは皆が体現することで
会社としての姿勢を貫くために
求められているルールですから

 

。。。

 

禅語にこのような表現があります。

 

威儀即仏法 作法是宗旨 
 いぎそくぶっぽう さほうこれしゅうし

 

通常この言葉は、

 

「きちんとした儀式作法を行い、
教えに則った生活をおくることが、
曹洞宗の教えである」

 

と解釈されます。

 

実際、曹洞宗の総本山永平寺などの修行道場では
日常生活の細部にまで規則が定められています。

 

その規則に従って日々の生活をおくることが
修行の大前提とされています。

 

決まり事が多すぎると
言われることもあるそうですが、
むしろ「形を揃える」ことができないのは、
自分をコントロールすることができない証拠であり、
「心の乱れの表出」と見なされます

 

まずは「形」を整えて、
その流れの中で身についたものが
「心」を整えることに繋がると
考えられているのです

 

「なぜその形が重んじられているのか?」

 

それを考え、理解し、体現する

 

修業とはその積み重ねであり、
理解と体現の先にこそ

 

「形があっての、型破り」

 

これが実現するのではないでしょうか?

 

歌舞伎の世界では
この「型破り」こそが
芸に求められることと
されているそうですが、
そのためにもまずは形を究める

 

焦らず行きましょう

 

禅メソッドマスター

木村卓道