母親の世話で
私がつぶれてしまいそう・・・
相談者:57歳女性 Kさん 現在無職
Q:現在、母親の介護のため夫とはなれ
実家の岐阜に来ています。
母は、父が他界してからずっと一人で
暮らしていましたが、最近痴呆症なのか
わけのわからない行動をしてしまうことが多く
心配なので戻って来ました。
母は、私が誰なのかも分かっていないようです。
私が、何を言おうと
トンチンカンな返事しか返って来ないし、
私の言うことは全く聞いてくれません。
毎日がこんな状態ですので、
さすがの私も
大声を出してしまったり、
手をあげそうになったり、
ひどい時には、
”殺して私も一緒に死のう!”
と思うことも何度もありました。
でもね、子供の頃の母は、
とても優しかったんです。
参観日に後ろを見たら優しい笑顔のお母さん・・・
運動会に、作ってくれた美味しいお弁当・・・
そんなことを思い出すと
とてもそんなことはできません。
本人に悪気があるわけではないですし。
もう、私どうしたら良いかわかりません。
どうか、こんな私にアドバイスをお願いします。
。。。
こんにちは、禅メソッドマスターの酒井です。
お母様のお世話は、本当に大変ですね。
認知症ですと、こちらの言うことが
理解できなかったり、徘徊しないよう注意しなければ
ならなかったりと他の病気の看病とは違った
ご苦労もあると思います。
実は、私にも母の看病の経験があります。
ガンで寝たきりの状態でした。
入院中の母が
「家に帰りたい」
と言い出しました。
つれて帰りたいのは、やまやまなのですが
”自宅で看病できるのか”
不安でなかなか決断できませんでした。
それでも母は
「家に帰りたい」と言い続けていました。
きっと、先が短いと
感じていたのでしょうね。
主治医の先生も、すでに末期の状態だったので
「家に帰れるのは今しかないよ」
とおっしゃってくださり、
病院も、社会福祉士さんや、ケアマネージャーさんを
手配して下さり、介護認定がすぐに降りるよう尽力
していただきました。
おかげで、自宅に帰ることができました。
母は、本当に喜びました。
訪問看護師さんが、日に1回
ヘルパーさんが、日に2回来て
お世話をしてくださいます。
本当に良くしていただきました。
。。。
「自分の親である」という責任感から
”自分ひとりで看よう”
と思っていませんか?
病を抱えた家族を持った人に大事なことは
”自分の心身が健全であること”
です。
大変なこともあるでしょう
疲れることもあるでしょう
心が折れてしまいそうになることもあるでしょう
けれども、
自分の体力・精神力が尽きてしまったら
病を持ったお母様の面倒見ることが
できなくなってしまいます。
【他力本願】
(たりきほんがん)
という禅語があります。
よく聞く言葉だと思います。
最近では、
「人任せにする」
「他人の力をあてにする」
「他人に依存する」
など、ネガティブな解釈をされていますが
本来は
「他力」=阿弥陀如来の力を借りる
「本願」=本当の願い
という意味なのです。
私は「能力のある人の力を借りる」
と解釈しています。
世の中には、介護や家事に対して
いろいろなサービスがあります。
- 訪問介護
- 家事代行
- 訪問マッサージ
- 訪問理髪
- 話相手
などいろんなサービスがありますので
ぜひ調べて利用してみたらいかがでしょうか。
また、介護で困りごとがあったら
社会福祉士、ケアマネージャーや
「認知症サポーター」などに
相談するのもいいかと思います。
とにかく、ひとりで抱え込まないで
他人の力を借りましょう。
そうすることで、Kさんの
心にも、時間にも余裕ができます。
余裕ができれば、
お母様と接する時間が増えます。
ゆっくりお話を聞いてあげられる。
すると、お母様も落ち着き
不安も徐々に取り除くことができます。
実は、
”誰よりも一番不安に感じているのはお母様本人”
です。
”いつも美味しいと言ってくれた料理が作れない”
”ひとりで着替えができない”
”ご飯を食べたか覚えていない”
など、今まで普通にできていたことが
できなくなってしまったのですから。
。。。
Kさんは、どこかで
「迷惑をかけたくない」
「嫌な思いをさせたくない」
「甘えてはいけない」
と思っていませんか?
だから、”人の力を借りたくない”
と考えてはいませんか?
そんな他人の心配をする必要はありません。
他人に任せられることはどんどん任せましょう。
その道のプロに任せれば効率がよく
余裕が生まれ、Kさんのストレスも軽減されるでしょう。
そして、もう一つ
”Kさんご自身の時間が作れる”こと
ご自身の時間を大切にしてください。
この世でたったひとりのお母様
自分を生んでくれたお母様
大切にしてあげてくださいね。
禅メソッドマスター
酒井 誠