「禅語ブログ『日々是好日』」vol.10「随処作主立処皆真」(ずいしょさくしゅりっしょかいしん)

6月 16日, 2020 更新 アーカイブ, 禅語ブログ

五十路の壁

 

相談者

 52歳 管理職 会社員

Q 

一体、これから何を心の支えとして
生きていけばいいのか?

 

人生の後半は、少し違う生き方ができないかと
思いはじめています。

 

定年まで安泰に勤められるほど平穏では
ありませんから。

 

サラリーマンとして人生を歩むのか・・・

 

何かを決断する転機の時期でないかと
思い悩んでおります。

 

アドバイスをお願いいたします。

 

 。。。

 

こんにちは、禅メソッドマスターの水野です。

 

私も、新卒から定年まで勤めあげたので、
ご相談者の方のお悩み、良くわかります。

 

50代になると、会社でも家庭でも立場が
変化してくると思います。

 

いろいろな選択肢があるので、
何が正解かを考えても、すぐには見つからない
ことかと思います。

 

50代になったら初心に帰り
もう一度そこから再スタートをするのも
一つの選択肢でしょう。

 

必要とされている場所が見つかるかも
しれません。

 

60歳で定年を迎え、その後嘱託
雇用されたとしても仕事が変わらない
のに
給料は大幅に減額される。

 

『仕事があるだけまし』

 

と割り切って働く。そんな選択肢もあるでしょう。

 

 

選択肢はいろいろありますが、
正解はありませんので、

 

『自分が納得できる答え探し』

 

をしてみるのは、如何でしょう?

 

。。。

 

私の友人の元銀行員は、54歳で
サービス業の会社に出向しました。

 

社長は長年地元商工会の役員を務め人望が
厚くやり手の社長が経営するいい会社だと
思っていたようでしたが・・・

 

行ってみたらとんでもない状況だった
そうです。

 

一代で築いた社長はワンマン経営
全てがトップダウン。

 

社員はやる気がなく、従業員同士の
コミュニケーションも悪く
業績は悪化の一途だったそうです。

 

出向した当時、従業員からは金融機関の
回し者で、リストラされるのではないかと
警戒されたそうです。

 

当然、従業員から受け入れてもらえず
会話のない日々が続いたそうです。

 

「えらい会社に来たものだ・・・」

 

逃げ出したいと転職も考えたそうです。

 

しかし、転職したら家族や送り出してくれた
元同僚に顔向けできない。

 

ここで自分ができることから精いっぱい
やることを決断腹を決めたそうです。

 

必死になって仕事を続けていると
次第に従業員から受け入れられ
職場の雰囲気が良くなり

 

社長から経営の判断を任されるように
なったそうです。

 

今は業績も徐々に回復しているそうです。

 

。。。

 

もしあの時、逃げ出していたら自分は
どうなっていただろう。

 

と彼は言いました。

 

彼は不満や未練を自分の中で消化し
割り切ることで次へ進むことが
できたのです。

 

昔の地位や経験を活かそうという
発想を捨てなければ、出向先で
生きることは難しかったことでしょう。

 

今までと全く違う環境で頑張るというのは
今までの経験の延長ではありません。

 

そこで黙々と自分の立場をわきまえ
新しい仕事をやり続け、結果を出した
彼は素晴らしいと思います。

 

50代は「迷い、惑う」年代なのです。

 

会社では肩身が狭くなり家庭では
子供の学費など出費がかさむ。

 

これまで真面目に頑張ってきたのに・・・
いつの間にか自分の居場所がない
ことに気付く。

 

『五十路の壁』なのです。

 

もう一度、どの道に進もうか
考えることが必要かもしれません。

 

自分の新しい人生について考える
きっかけにするのもよいでしょう。

 

これまでやりたくてもできなかったことを
始めるチャンスでもあります。

 

今までとは全く経験したことのない仕事に
踏み出していくのは不安もあるでしょうが。

 

『人生100年時代、50代は折り返し地点』

 

折り返し地点は、人生の後半戦の
スタートラインです。

 

『随処作主立処皆真』

(ずいしょさくしゅりっしょかいしん)

随処に主となれば立処皆真なり

 

自分が置かれた境遇や立場のなかで
常に精いっぱいの努力をする。

 

その時々の場所で『自分が主人公』
となって取り組む。

 

常にそういう姿勢で物事に臨めば
新たな喜びを見出すことができる。
という意味です。

 

喜びは自分の中にあるのです。

 

人は、何かを決断するとき条件が
そろうまで躊躇します。

 

まず、できることを精いっぱいやる
人に未来の可能性が見えてきます。

 

決めることとは、今までの自分を
捨て去ることです。

 

つらい仕事の時、
人のせいにしたくもなるでしょう。

 

「なぜ自分だけが・・・」
「なんでこんなことをやらされているんだ・・・」

 

そう思っていたのでは、いつになっても
不平不満や恨みの世界から抜け出せません。

 

”仕事の喜び”をつかむことはできません。

 

一生懸命に目の前のことをやっている
人は輝いています。

 

あれこれと余計なことを考えず、
今やるべきことに気持ちを集中させる。
目の前のことに没頭する。

 

「こんな仕事なんて」
「やらされている」
という思い込みを捨て、

 

「他人の評価」
「周りの目」

 

に振り回され
ないでください。

 

とにかく『今に集中』することです。

 

すべてがうまくいくものではありません。
努力が報われないこともあるでしょう。

 

それでも前を向いて「今に集中」してみる。

 

前に進むことを怖がらないでください。
自分を信じることで可能性は拡がります。

 

『主役は自分』

 

そういう思いで取り組めば、どんな仕事も
かけがえのない仕事になるのです。

 

次の進むべき道がかすかに見えて
くると思います。

 

見えてきたら、あとは勇気を
出して一歩を踏み出してみる。

 

あなたは今までにない充実感を
手に入れることでしょう

 

人間は幾つになっても変わる
ことができるのです。

 

情熱をもって取り組むことは
素晴らしいことです。

 

与えられている場所
与えられている役割
自分が置かれている立場や境遇の中で
今やるべきことを一生懸命にやることで

新しい自分と出会います。

 

『主人公』となって!
人生は自分のものです!

 

 

禅メソッドアカデミーマスター

水野幸雄