「禅語ブログ『日々是好日』vol.52 「莫妄想(まくもうぞう)」2

6月 21日, 2021 更新 アーカイブ, 禅語ブログ

禅メソッドマスターの
木村卓道です。

SNS全盛の文化の中で、
お疲れの方は
いらっしゃいませんか?

いいね!の数、
コメントの内容、
果ては
他者の書き込みの内容。

いろんな事に
一喜一憂する自分に
ふと疲れてしまうという
話を耳にします。

こうして書いている自分自身、
自分の書き込んだ内容に
反応がたくさんあると
嬉しいですし、

思い入れのある内容に
反応が薄いと
がっかりします。

。。。

認められたい

自分の価値を確かめたくて
「つい周りと比較してしまう」
(落ち着かない)

自分は有能だ、
優れていると思い込む
(プライドの高さ)

妥協できない
「完璧主義」になってしまう
(自分も周囲もつらい)

評価されない現状に不満、
その怒りを比較相手に向ける
(嫉妬)

人は誰しも
周囲から認められれば
嬉しいですし、
社会的生き物としては
自然の摂理なのかもしれません。

しかしその分、
心の中で
何かを比較したり、
思い描いたりして
自分の期待値を
勝手に上げているのかも
しれません。

SNSでの
周囲の反応への期待や
他者の様子への自身の感情は、

この「勝手に思い描く」期待の
最たるものなのかもしれませんね。

。。。

仏教を開いた
ブッダのエピソードに
以下のようなものがあるそうです。

当時、
ブッダは「悟った人」として
どんどん有名になっていきました。

そのことにジェラシーを感じる
宗教家(つまりブッダの同業者)も
大勢いたそうです。

そんなひとりがある日、
ブッダのところに行って、
非難中傷・悪口の言葉を
これでもかと投げつけたのです。

普通なら「何を言うか」と
ムキになって口論が始まるところです。

気弱に人なら
相手の言葉に傷ついたり
落ち込んだりするかもしれません。

ですが、ブッダは反応しません。
感情を上げもせず、下げもせず、
“超クール”にこう返したのです。

「あなたが家で客人に差し出した食事を、
もしその客人が食べなければ、
その食事は結局あなたのものになるだろう。

それと同じように、
私はあなたが差し出した悪口を受け取らない(食べない)。
その悪口は、差し出したあなたのものだ。
そのまま持って帰るがよい」

こうなると、
相手は黙り込むしかありません。

ブッダの意図は「ムダに反応せず、
心をクリアに保つことが何より大事なこと、
だから何を言われても反応しない」
ことにありました。

「相手を打ち負かす」ことより
「相手に反応しない」ことが
最高の勝利と考えたのです。

。。。

「莫妄想」

以前にもご紹介した
禅語です。

肉体や心の欲望、
未来への不安や執着など、

私たちの心を曇らせる
最大の原因が「妄想」です。

それをくよくよ考えるな
というのが

莫妄想(妄想することれ)》

です。

人と比べる事、
過去を患う事、
感情に揺れる事、

やめませんか?という事です。

想像や比較による
一喜一憂を止め、

「自分はこうありたい」
という姿に焦点を
当て続けたいものですね。

禅メソッドマスター
木村卓道