「禅語ブログ『日々是好日』vol.51 「廃悪修善(はいあくしゅぜん)」

6月 19日, 2021 更新 アーカイブ, 禅語ブログ

「廃悪修善(はいあくしゅぜん)


~悪いことはやめ、良いことを重ねて行くこころ~」

こんにちは。禅メソッドマスターの
仁木 啓至です。



今回は廃悪修善の話をしたいと思います。

廃悪修善とは、
簡単に言いますと、悪いことをやめて
善いことしよう・・ということです。

仏教を一貫している教えは、「因果の道理」
と言われています。
自分の蒔いた種は、善いことであろうと
悪い事であろうと、結果として自分が
刈り取ることになります。

「あなたに現れる、不幸や災難は、あなたの
蒔いた、悪い因が生み出したものなのだ」
(悪因悪果・自因自果)

なので・・・
「不幸になりたくなければ、悪い行いを慎みなさい」
という「廃悪」の教えになります。

「あなたの幸福は、あなたの蒔いた善い因が
生み出すものなのだ」
(善因善果・自因自果)

なので・・・
「幸せになりたければ、善い行いをしなさい」
といった 「修善」 の勧めになります。 

誰もが、不幸を嫌い、幸福を求めて生きている
のだから、仏教はすべての人に「廃悪修善」を
勧めていると言えます。

だから、お釈迦様は、
「こんなことが善ですから、こんなことをやりなさい」
と、一生涯にたくさんの善を説かれたのです。
それが、七千余巻のたくさんのお経となりました。

とても多い数ですね。

ところが、あまりたくさんあると、
どれをしようかと目移りして、
結局やらなくなってしまうので、お釈迦様は、
あらゆる善を六つにまとめて、

「六波羅蜜(ろくはらみつ)」と言う教えを
教えられています。

これは、「六度万行(ろくどまんぎょう)」
ともいわれていまして、以下の六つになります。

1 布施(ふせ) ……親切
2 持戒(じかい) ……言行一致
3 忍辱(にんにく) ……忍耐
4 精進(しょうじん) ……努力
5 禅定(ぜんじょう) ……反省・坐禅
6 智慧(ちえ) ……修養

上記六つの善い行いをしなさいと、
お釈迦様は教えられているのです。

道端に落ちているごみを拾うだとか、
スーパーの駐車場で無造作におかれている
カートを元に戻すとか・・・

だれも見ていないかもしれないですが、
小さな親切(善い事)を積み重ねていくと
自分が蒔いた良い種なので、いつか自分に
返ってきます。



だれかの悪口や陰口をいった、ネット上で
匿名で厳しい個人批判をした、
相手の嫌がるいじめをしたとなると、

悪い種をまいたことになるので、
いつかは自分に何らかの形でかえってくる
かもしれません。

私も人から厳しく対応されたことがあり、
とても嫌な思いをしたことがあります。

その時は辛かったのですが、冷静に考えてみると
あれっ・・これは以前、自分が別の人に対して、
行っていた対応の仕方と一緒だ・・・

それと同じことが返ってきたんだ・・・
改めて気づかされることもありました。

自分がされて嫌なことを、
相手に無意識にしてしまっていた・・
原因の種は、人への接し方にあったんですね。

この道理を知っていると、
悪いことはやめよう、良いことをしようと
いう心が現れてきます。

廃悪修善の4文字をぜひ心にとどめて、
小さなことでも良いので、「良い種まき」を
していければ良いかなと思います。

たとえ、人が見ていなくても、
善いことをすることによって、自分の心も
広く、暖かくなると思っております。

廃悪修善のこころを持って、日々過ごしてみて下さい。

禅メソッドマスター 仁木 啓至