「禅語ブログ『日々是好日』vol.46 「我が悪をいうものは我が師なり」

4月 26日, 2021 更新 アーカイブ, 禅語ブログ

相談者 54歳 女性 



Q、

結婚30年、現在54歳です。
二人の子供は独立し、夫と二人の生活になりました。
表面的には何も問題はないように見えると思います。

でも、最近の夫はイライラしていることが増えて、
言い方がきつくなってきたような気がします。


定年退職も間近に迫ってきて
落ち着かないのかもしれませんが・・・

私は子どもの時から自分のことを話すのが苦手で、
つい相手に合わせてしまうところがあります。
そんな自分が嫌いです。

30年も連れ添っているのに、
情けないんですが、
夫は、私の意見など聞いてくれないし、
たまに思い余って言い返すと
その何倍も反論されます。

それを聞いていると
自分が否定されているような気持ちになって
さらに自信がなくなり、何も言えなくなってしまうので
納得していないのですが、黙って聞いています。

もう少し、夫が私の
気持ちを尊重してくれたらいいなぁ・・・と
思ってしまうのですが・・・

こんな時は、
どうしたらよいのでしょうか?

。。。

ご質問ありがとうございます。
禅メソッドマスターの鈴木慧嘉(すずきけいか)です。


ご質問いただきまして
ありがとうございます。

ご主人と二人だけの生活になって
ご自分の課題が見えてきたのかもしれません。

もう、このままでもいいのかな?と思わず、
問題を解決しようと
勇気を出して行動されましたね。
一緒に考えてみましょう。

ご主人のことのようで
自分のこと!?

ちょっと厳しいようですが、、、

ご主人の言動から、
あなたが何を感じ、
何を選び、
どう振る舞っていたでしょうか?

全てはあなた自身が選んだことなんです。

「自分の意見を表現しなくても、
相手が気を回し、
気持ちを尊重してくれたらいいなぁ・・・」

確かに、そうですね。
それなら、
何の苦労もありません。
でも、実際はそうはいかないんですよね。

他者が考えていることは
基本的にはわからないからです。

あなたが、
“ご主人の気持ちを理解できない”ように、

ご主人も、
“あなたの気持ちを理解できない”のです。

ですから、
何にしても
自分の意見をちゃんと言葉にして
伝えなければならないんです。

勇気を持って自分自身の気持ちを
言葉にして伝えることが
今のあなたの課題なのではないでしょうか?


例えば、
「私の考えていることを
理解してくれないあなたはひどい」
「理解されない私はかわいそう」

そもそも、
こういった気持ちで関わっていたら、
なんとなく、
相手は責められていることを感じとります。

責められている→攻撃されている

と感じれば、反撃するかもしれないのです。

このパターンに入ってしまうと、
対等な夫婦の関係を築くのは
難しくなってゆきます。

いつも周りのことを気にして、
自分のことを優先できない人は、
いつの間にか
自分の意見が言えなくなってしまう

自己主張をしない方が
楽なこともありますよね。

でも、それに慣れてしまうと、
気づいたときには
主張したいと思っても
できなくなってしまうんです。

そもそも自分の意見を言わなければ
話し合いにならないので、
自分の意見が、
関係の中で反映されることはありません。

すると、自分の意見は常に認められず
(結局自分が言わないからなのですが・・・)
いつも相手を優先することになります。

自分の意見を相手に伝えることなく、
相手に自分の気持ちをわからせようとするのは、
協力的とは言えません。

むしろ、“支配的”な行動と
考えることもできます。

え~っ!!!

私が“支配的”???

びっくりされましたか?

「そんなつもりはないです!」と、
反論なさるあなたの声が
聞こえてきた気がします。

いや~そうなんですよ、

「そんなつもりじゃない」

でも、いかがでしょうか?

自分の意見も伝えず、
伝える努力もせず、

自分の気持ちを理解されないと
相手を批判する。

そんなつもりはなくても
結果として、
行っているのは「支配」だと
捉えられる可能性があるのです。

そんなあなたにお伝えしたいのは、

我が悪を

いうものは、

我が師なり

という禅語です。

自分の欠点を指摘してくれる人は
師だと思って向き合いましょう、
という意味です。

健全なパートナーシップは、
お互いが自由で対等な関係です。

ここで言う自由とは、
自分の意見をきちんと
相手に伝えることができる。

相手の意見を取り入れて相談し、
協力し合うことができることです。

自分の意見を言わずに生きてしまうと、
いつまでも
前に進めないようなことが起こるのも
必然のような気がします。

定年間近のご主人と二人で
これからの人生を謳歌するためにも
ここはあなたの
がんばりどころです。

いつも応援しております。
まずは
勇気を出して、
主張的な生き方を手に入れましょう。

禅メソッドマスター 鈴木慧嘉(すずきけいか)