「禅語ブログ『日々是好日』vol.42 「正見(しょうけん)」

3月 24日, 2021 更新 アーカイブ, 禅語ブログ

「母に介護が必要になりました。

とても仕事と両立できそうにありません。

仕事をやめたほうがいいのではないか悩んで

います。」

相談者 49歳  会社員 女性



Q、

ずっと一人で元気に暮らしていた母が先日倒れ、
急に介護をすることに。
時には仕事を休むことも増えました。

自分自身も若くはないので、体力的に厳しいと
感じることが度々あります。


私は一人娘ですので、できることは
なんとか一人でしたいと思っています。

いずれは、、とは思っていましたが
こんなに急に必要になるとは・・。

実際に始めてみると、体力的に厳しく
疲れもたまりがちです。
仕事の方もあまり休むわけにはいきません。

一旦仕事をやめて、介護に専念
したほうが良いのではないか?
と悩んでいます。

何かアドバイスがあれば、お願いします。

今起きていることを
客観的に、ありのままに
見てみませんか

こんにちは、禅メソッドマスターの松嵜恵子です。

お元気だったお母様が急に倒れ、介護が必要になる。
急なことに驚かれたでしょうね。

そんな中、仕事も続けながら
献身的にお母様の介護をされている。

頭が下がります。

このご時世、休むことで職場の仲間に
迷惑をかけることも心苦しいと思います。

また、一人娘であるあなたが
親の面倒を見なければならない、
とも、強く思っておられるのでしょう。

日中仕事で疲れるのに、
責任感を持ってご自身で
介護をされていれば
体力的な負担は重い・・・

そんな中で、一旦仕事は
やめてしまおうかと考えるのも、
無理はないと思います。

。。。

2500年前、ブッダは

”人生とは苦しみであり
苦しみには必ず原因がある。

その苦しみは消すことができ
それには八つの道がある”

と説きました。

人が苦しみを取り除くための八つの道とは

「八正道」
(はっしょうどう)

その最初の道が

「正見」


(しょうけん)

正しいものの見方をする


というものです。


正見とは

「自分中心の偏った見方を捨て、
この世の有様を”ありのまま”にみることが
大切である」

という教えです。

私たちは、この世に起きているものごとを
自分自身のフィルターを通して認識します。

そして、それが他の人も同じように見ていると思い
「正しいのだ」と考えます。

たとえば、

今までの経験、
親から受けた影響、
自分の興味や価値観、

などをベースに

「自分の見方」

で物事を認識し、自分のフィルターを通して
どういう意味があるかを判断しています。

まずは「正見」で、
今起きていることを
ありのままに
客観的に見ることが大切ではないでしょうか。

”子どもが親の面倒を見るべきだ”

という考え方も
その一つです。

親の面倒を親身にみるというのは素晴らしいことですが
仕事を辞めてしまえば、収入はなくなります。

体の不自由なお母様とふたりで暮らしていくのに、収入が途絶える。
共倒れしては、お母様の面倒を見ることも叶わなくなります。

まずは、今起きていることを「ありのまま」に捉え、
客観的にどのような対応方法があるのか
調べてみてはいかがでしょうか。

行政や民間のサービスをいろいろと調べれば、
サポートするサービスがあると思います。

あなたにはあなたの人生があります。

まずは、自分の生活を変えずに
自分ができることから
探していきましょう。

それは決して親不孝なことではありません。

一人娘のあなたが今も、これからも、
幸せに暮らしていくことを
何よりも願っておられるはずです。

ご相談いただき、ありがとうございました。

禅メソッドマスター 松嵜恵子